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伊藤恵美 インタビュー
UNHCRはイラク及びその周辺国でイラク難民・避難民などに対する支援活動を続けています。長引く避難生活、都市のあちこちに離れて暮らす難民たちにとって、精神的なケアは欠かせません。UNHCRとユニセフは2007年夏から共同でイラク難民の子どもたちに対して、“Go Back to School”キャンペーンを実施しています。日本からも、真如苑や立正佼成会、日本労働組合総連合会など多くの皆様から温かいご支援をいただきました。現況について、ヨルダン事務所のコミュニティサービスを担当していた伊藤恵美さんからお話を伺いました。
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伊藤恵美さん
元UNHCRヨルダン事務所
コミュニティサービス担当
国連UNHCR協会 でのコンサルタンティング業務を経て、2007年からJPO(外務省から国連機関への派遣制度)としてUNHCRヨルダン事務所に勤務。
2009年10月より国際協力機構(JICA)勤務。
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ヨルダンでは、イラクやソマリア、パレスチナなど様々な地域から難民となって逃れてきた人々が、都市で地元の人々と隣りあわせで生活をしています。UNHCRは、ヨルダン政府や地域コミュニティと協力しながら、難民の人たちが少しでも生活しやすい環境を整えるためのサポートを行っています。私は、コミュニティサービス担当として、教育や保健衛生、女性や子どもなどの社会的弱者への支援に携わっていました。
コミュニティサービスという仕事
避難先ではまず、教育や保健など生活にかかせない公共サービスを受けることができるかどうかが問題になります。
教育分野では、難民の子どもたちが公立の学校に通えるようにするため、みなさまからの支援をもとに“Go Back to School キャンペーン”を実施しました。中には、不法滞在というステータスが判明してしまうことや、民族や宗教差別を受けることに対する恐怖、女子教育に対する軽視などから、親が子どもを学校に行かせることに反対するケースもありました。しかし、親や子どもひとりひとりに教育の重要性を話し、時間をかけて説得して、少しずつ就学率を上げることができました。
また、保健分野においても、地域住民とほぼ同じ料金で公立病院のサービスを受けられるよう政府との交渉を行いました。
さらに、避難生活の中では難民たちの社会的、心理的ケアも重要です。特に女性や子どもなどの社会的弱者への配慮が求められています。
避難先で家庭内暴力に悩む女性に対しては、「駆け込み」の施設を開設しました。この施設は難民だけでなく一般市民にも広く門戸を開放し、国籍に関係なく地域の悩む人たちの窓口になりました。
また、紛争で親と離れ離れになるなどして、トラウマを持った子どもたちもたくさんいます。たとえば、私が接したケースでは、スウェーデンで難民申請を行っている親を待ち、おばさんの家に長らく預けられたままの子どもがいました。彼はストレスでおねしょがとまらないという問題を抱えていました。子どもたちへの社会的心理ケアは日本のNGOと連携し、根気よく続けています。
都市難民の生活
就労の権利のない難民たちが物価の高いヨルダンに暮らすにあたって、金銭的支援も欠かせません。長期化したイラク難民問題では、限りある資金の中で、いかに金銭的支援を長く続けていけるかということも課題のひとつでした。毎年、世帯構成や難民申請の実態調査を行った上で、2009年には5000世帯に対し、1ヶ月1人当たりおよそ1万円の支援を実施しました。また、就労支援のため職業訓練を提供しました。合法的に働けない中でも、難民の人たち自ら、法律に抵触しない範囲で日雇い労働や家政婦、ヘアサロン、携帯修理などの仕事を見つけています。
難民キャンプではなく、都市のあちこちに散り散りになった難民が暮らすヨルダンでは、地域全体の協力により難民を支援するのがとても困難な状況にあります。そのため、戸別訪問やコミュニティセンターでの面談を通じて、いかに個人のスキルを発掘し伸ばしていけるかが支援の鍵となっていました。難民の人たちに困っていることだけはなくて、彼らにできることを聞き、自助努力を促す手伝いは、とてもやりがいのある仕事でした。
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