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中東 ・ 北アフリカ地域/イラク及びイラク周辺国
増え続ける避難民
イラクでは2003年にフセイン独裁政権が倒されましたが、異なる宗派や民族が武力で激しくぶつかり合う内戦状態が続いています。イラク周辺のシリアやヨルダンには、家族を殺されたイラク人や、拉致、拷問に遭って命からがら逃げてきた多くのイラク人が、難民として避難生活を送っています。また、2009年1月現在、イラク国内では265万人の人々が国内避難民として避難を強いられていますが、その内、2006年以降から避難生活を続ける人は150万人に上ります。治安回復の目処は立っていない状況です。
現在のイラクは変化の過渡期にあり、2010年初めに行われる国民議会選挙を含め、更なる変化が見られるでしょう。大規模な開発と経済的な再建計画により経済基盤の建て直しが進んでいるものの、基本的サービスが利用できる機会は少なく、雇用の確保も難しい状況にあります。そのため、今もなお帰還民や国内避難民は人道支援を切に必要としている状況が続いています。
また、 仕事もないまま避難生活が長引くにつれてイラクから持ってきたわずかな蓄えが底をついた人々や、治安が回復したと聞いた人々がイラクに帰還し始めていますが、大規模な帰還にはなっていません。2008年から2009年で、国内避難民30万人と8万人近くの難民が自発的に帰還しました。同時に、約150万人の国内避難民のうちの大半が、窮状から抜け出す方法をみつけられていません。
ヨルダンで避難生活を続ける多くのイラク難民の多くがUNHCRに難民登録を行なっていないため、ヨルダンのイラク難民の数は正確には把握されていませんが、推定で50万人いると考えられています。ほとんどの難民や庇護申請者は都市部に住み、コミュニティからの支援を得るのが難しいのが実情です。働く権利がないため、多くの人々は貧しい生活を送っています。彼らは脆弱な立場にあり、大多数の人々が支援と暴力や搾取からの保護を求めているのです。
シリア国内でUNHCRの難民登録を申請するイラク人の数は減少してはいるものの、月々の登録者数は今もなお何千もの人数に達します。2010年1月現在、シリアで避難生活を続けるイラク難民は推定で約75万人、そのうち約17万人がUNHCRからの支援を受けています。
出口の見えない避難生活
2007年から2008年半ばにかけて、約4万人がアメリカやヨーロッパなどの16カ国で第三国定住を果たしましたが、その他大多数の難民たちの避難生活は厳しくなる一方です。
命の危険にさらされて
ある男性はUNHCR職員に、宗派が異なる武装グループからバグダッドの家を出るよう脅迫されたときの様子を話してくれました。彼は銃弾が貼り付けられた脅迫状を手に握りしめ、「家族5人が着るものひとつ持たずに逃げてきたのです。誰か私たちのために衣服を集めてくれませんか」と訴えていました。
UNHCRの活動
イラク国内では、UNHCR職員は現地での援助対応に追われています。UNHCRは、シェルターや食糧など物的支援だけでなく、無国籍者の権利を擁護すること、避難民を保護する国の政策の実施を求めるロビー活動、地元コミュニティレベルで避難民を支援するNGOのネットワーク作り等もその活動目標としてあげています。
シリア・ヨルダン両国は60年以上にわたり何十万人ものパレスチナ難民を受け入れているため、今回のイラク難民の大量の流入は両国にとってさらなる経済的・社会的負担となっています。難民の数が急増する中、UNHCRは受け入れ国の負担を少しでも軽減するよう、国際社会に対して支援を求めています。
難民たちがUNHCRに寄せる大きな期待
シリアに逃げてきたイラク人女性は、「UNHCRが難民のための国際機関として、イラク人に安全と支援を提供してくれることを知ってやってきました。他の国に移住するためのビザを手に入れられるよう、私たちを助けてくれるかもしれません。国連の支援なしに私たちイラク人を受け入れてくれる国なんて、世界中どこにもありません」と、語りました。
ニーズ(願い)
イラクへ帰還した人々は身の安全を確保することが難しく、また生計を立てる手段もなく、さらには公共サービスを利用できないという困難に直面しています。 もともと住んでいた家やふるさとに戻る支援を帰還民が受けられなければ、地元の人々との緊張状態が高まる可能性も多いにあります。そんな中、多くの国内避難民は悲惨な状況の中で生活を送り、援助を受けることもできないでいます。避難生活が長くなればなるほど、人道的支援の必要度が増しています。2003年から多くの難民が激しい攻撃の標的となってきました。直接の脅威は緩和されたとはいえ、彼らは未だ脆弱な立場にあり、生きるために必要な保護と基本的な援護を求めています。
空爆後のレバノン
レバノンでは、2006年7月に始まったイスラエル軍の空爆により、約75万人が国内避難民となりました。レバノンの被災者のために皆様から 2006年にお寄せいただいたご寄付は3016万円に上り、多くの避難民が自宅に戻ることができました。その一方で、レバノンも4万人以上のイラク難民を受け入れており、その対応に追われています。UNHCRレバノン事務所日本人職員・伊藤礼樹は、「レバノンのイラク難民の場合は、キャンプにまとまって生活しているわけではないので、目に見えにくい難民問題かもしれません。しかし、まだまだ多くの人々が支援を必要としています」と語っています。
イラク周辺国に逃れたイラク難民とイラクの国内避難民のために、皆様の温かいご支援をお願いします。
(2010年1月 1ドル=91.7円で換算)
(2010年1月25日更新)
<イラク及びイラク周辺国 最新ニュース>
2010年
4月1日 イラク難民、アカデミー受賞作品『ハートロッカー』の成功に貢献(駐日事務所ニュース)
3月1日 疑念と希望を抱え故郷の選挙を見守るイラク難民(UNHCR本部ニュー ス・翻訳)
1月12日 最新の戦闘により、イエメン北部では20万人が避難(駐日事務所ニュース)
2009年
10月26日 UNHCRが攻撃で家を失ったイラク人たちに新 しい家を建てる(UNHCR本部ニュース・翻訳)
10月22日 UNHCRの最新統計によると、イラク、アフガニスタン、ソマリアから先進諸国へ庇護を求めた難民申請が上位を占める(駐日事務所ニュース)
10月2日 ア ンジェリーナ・ジョリーUNHCR親善大使、イラク難民を忘れ ないよう訴える(UNHCR本部ニュース・翻訳)
9月4日 ベルギーでの再定住プログラム再開を歓迎(UNHCR本部ニュース・翻訳)
7月24日 アンジェリーナ・ジョリー、バグダッドにて(UNHCR本部ニュース・翻訳)
7月24日 イラク北部でふるさとを追われた家族を支援するUNHCR(駐日事務所プレスリリース)
6月2日 イラクでの人道的支援に必要な継続的援助(UNHCR本部ニュース・翻訳)
4月29日 何千人ものイラク難民のためにUNHCRがバグダッドで清掃作業を行う(UNHCR本部ニュース・翻訳)
3月18日 イラク北部でふるさとを追われた家族を支援するUNHCR(UNHCR本部ニュース・翻訳)
2月3日 ふるさとでの地方議会選挙を見守るイラク難民(UNHCR本部ニュー ス・翻訳)
1月22日 UNHCRの援助で大学進学の夢を叶えるイラク難民の学生(UNHCR本部ニュース・翻訳)
2008年
12月31日 苦難の幼少期に終止符を打ち、カナダでの新しい生活へ(UNHCR本部ニュース・翻訳)
12月11日 イランのアフガン人不法労働者に関する提言(UNHCR本部ニュース・翻訳)
11月26日 グテーレス国連難民高等弁務官がイラクのアンバー州を訪問、 UNHCR新事務所開設を発表(UNHCR本部ニュース・翻訳)
10月30日 イラク・シリア国境のパレスチナ難民を洪水が襲う(UNHCR本部ニュース・翻訳)
8月5日 イラク難民女性、笑顔を再学習(駐日事務所ニュース)
8月3日 シリア・ダマスカスのイラク難民の子どもたちに学習用品を支給(UNHCR本部ニュース・翻訳)
7月10日 ヨルダンの難民サッカー選手ら、統一へゴールを決める(駐日事務所ニュース)
7月10日 Q&A:バグダッドでのある一日(駐日事務所ニュース)
7月3日 シリアの海辺での休日は、パレスチナの子ども達にとって、楽しいだけでない(駐日事務所ニュース)
6月30日 UNHCR、シリアで第2期食糧配給を再開(駐日事務所ニュース)
6月12日 新しい生活を仕立て上げる ― イランで職業訓練を受けるアフガン難民(UNHCR本部ニュース・翻訳)
6月6日 UNHCR、ヨルダンのイラク難民支援において困難に直面(駐日事務所ニュース)
6月6日 イランに滞在しているフェイリ(Feili)のクルド人がアイデンティティ・クライシスから逃れようとしている(駐日事務所ニュース)
5月16日 イラクの活動資金不足、UNHCR支援を要請(駐日事務所ニュース)
5月16日 UNHCR、シリアにて国際NGOと画期的協定に調印(駐日事務所ニュース)
4月25日 シリアのイラク難民が食糧と原油の値上がりの影響をうける(UNHCR本部ニュース・翻訳)
3月19日 主要国への難民申請、イラク危機により増大(駐日事務所ニュース)
3月18日 イラク危機により先進主要国での庇護希望者が急増(UNHCR本部ニュース・翻訳)
2月21日 UNHCR、レバノンのイラク難民認定に関する決定を称賛(駐日事務所ニュース)
2月21日 グテーレス国連難民高等弁務官、イラクを訪問しUNHCRの役割強化を表明(駐日事務所ニュース)
2月2日 故郷イラクの地方選挙に注目するイラク難民(UNHCR本部ニュース・翻訳)
1月22日 トラウマに関する調査が浮き彫りにする、シリアのイラク難民の苦悩(UNHCR本部ニュース・翻訳)
1月16日 アラブ連盟、イラク難民のための募金キャンペーンを開始(駐日事務所ニュース)
2007年
12月28日 イラク難民の子どもたちのトラウマ克服を道化師が支援(駐日事務所ニュース)
12月27日 イラク難民の子どもたちのトラウマ克服を道化師が支援(UNHCR本部ニュース・翻訳)
12月21日 イラク人ミュージシャンのナセル・シャンマ(Naseer Shamma)氏、募金キャンペーンを開始(駐日事務所ニュース)
12月19日 イラク難民の苦境に関する貴重なデータを示す調査(駐日事務所ニュース)
11月28日 イラク政府、シリアから難民をバスで帰還させる(UNHCR本部ニュース・翻訳)
10月18日 火災により100万米ドル相当のUNHCRのテントが焼失(UNHCR本部ニュース・翻訳)
9月27日 2007年上半期、約2万人のイラク人が先進国に庇護を求める(駐日事務所ニュース)
9月18日 シリアの学校に通うイラク人学生、大幅に増加(駐日事務所ニュース)
9月14日 シリアのビザ取得要件変更を受けて、イラク人の入国希望者が激減(駐日事務所ニュース)
9月14日 UNHCR、ラマダン期間中のイラク難民たちに食事を提供(UNHCR本部ニュース・翻訳)
8月30日 UNHCR親善大使アンジェリーナ・ジョリー、イラク難民の苦境と勇気に耳を傾ける(駐日事務所ニュース)
8月29日 UNHCR親善大使アンジェリーナ・ジョリー、シリア、イラク訪問中に人道的危機を強調(駐日事務所ニュース)
8月27日 ヨルダンでの公立学校通学がイラク難民の希望となる(駐日事務所ニュース)
8月23日 UNHCR、イラク人の子どもたちを学校に受け入れるヨルダンの決定を歓迎(駐日事務所ニュース)
8月7日 UNHCRと国連児童基金(UNICEF)、イラクの子どもたちの教育支援に1億2900万米ドルの支援要請(駐日事務所ニュース)
7月31日 子どもたちへの教育援助を必要とするイラク難民の家族(UNHCR本部ニュース・翻訳)
7月23日 シリアとヨルダン、イラク会議における支援表明後も更なる支援を待つ(駐日事務所ニュース)
7月13日 UNHCR、ベイルート郊外にイラク難民のためのコミュニティセンターを開設(UNHCR本部ニュース・翻訳)
6月8日 イラク人キリスト教徒夫妻、息子との合流を試みてヨーロッパの収容所に(駐日事務所ニュース)
6月7日 イラクの避難民が420万人を超える:貧民街が続々と形成(駐日事務所ニュース)
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