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グルジア(南オセチア紛争)/白戸純 緊急報告
2008年9月10日、UNHCRロシア連邦北コーカサス事務所に勤める白戸純上級保護官から緊急報告が届きました。
南オセチアをめぐる紛争に追われ、8月半ばまでに、約3万4千人が、ロシア連邦南部の北オセチア共和国に避難してきました。北オセチアには、1991−1992年のグルジア・南オセチア紛争を逃れたものの、いまだに自活するめどが立たず、避難所に暮らす人たちがいます。多くが高齢者です。政府とともに、彼らのために住居を建設し、またロシア国籍の獲得などの法的支援を実施するのが、ここ数年のUNHCRの北オセチアでの活動でした。彼らのほとんどは北オセチアでの定住を望んでおり、このままいけば、あと2−3年で、このプログラムも円満に終了できるだろう、と思っていた矢先の紛争でした。
北オセチア住民のほとんどが、南オセチアに家族・親族や友人がいます。「毎年、毎年、夏になるとグルジア兵との小競り合いがある。秋になれば落ち着くけれど。もう15年、解決の見込みのないまま、この緊張を経験するのは耐えられない。また情勢は悪くなっているみたい。祖母は心臓が悪いから、こちらに来て欲しいのだけど、死んだおじいちゃんと建てた家と、家畜を置いていけないと言っているの」ロシア語の先生である30代後半の女性からこう聞かされたのは、7月半ばのことでした。
グルジア軍とロシア・南オセチア軍の交戦が激化するに従い、続々と国境を越える避難民。避難所に姿を変える学生寮、ホテル、修道院。大人たちが表情を曇らせている一方、収容された子供たちは、くったくなく元気でした。「南オセチアでは、ここに来るまでの数日砲撃がすごくて、みんな怖がって眠れなかったんですけれど、こちらは断水も停電もないし、砲撃もないし、子供たちはよく眠って少し元気になりました」避難民の母親から話を聞きました。「でも、南オセチアにある家は壊されてしまったから、これからどうすればいいのか。北オセチアにいつまでもいられるわけでもないし。こちらには仕事もないし、子供たちの学校のことも考えなくてはいけないし」。
ロシア非常事態省の対応は迅速で、かつロシア全土から集まった多大な寄付のおかげで、国際機関への援助要請は緊急ではなかったのですが、それでも、避難民が「PERSONS OF CONCERN(支援対象者)」であることには変わりません。紛争の犠牲者に援助が確実に届くようにと、8月19日と20日の2日にわたり、UNHCRの救援物資が空輸されました。さらに、UNHCRは、避難民の登録と証明書発行を担当する連邦移民局に、コンピューターなどの機材を提供しました。
最初の飛行機がウラジカフカス空港に着陸するとき、開所以来働いているアシスタントがこう言いました。「私はいつも、UNHCRの職員であることを誇りに思って働いています。でも今日みたいな日には、いっそう誇らしく思います。そして、オセット人として、この空輸を実現する為に尽力して下さった全ての人に、本当に感謝します。もちろん、あなたにも」。
8月21日から22日にかけて、グテーレス国連難民高等弁務官が北オセチアを視察しました。「北オセチアの避難民は手厚い援助を受けているとの報告を受けていますし、実際非常事態省の対応は目覚しいものです。しかし、UNHCRにとって、犠牲者にファーストクラスもセカンドクラスもない。皆等しく、懸念の対象です。だから私はグルジア訪問のあと、こちらに来ることにしましたし、わずかながら援助物資も送ることにしたのです」。グテーレス国連難民高等弁務官は連邦移民局との会談でこう述べました。
戦争が起こった原因を究明するのは、新たな紛争を防ぐ為に、大事なことです。しかし、紛争の被害者を助ける現場では、それは、あまり重要なことではありません。被害者は皆懸念の対象。国際メディアでほとんど報道されなかった、北オセチアに来た避難民と話しながら、グテーレス国連難民高等弁務官の言葉を頭の中で繰り返しました。
白戸純(しらと じゅん)
1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。ライデン大学(オランダ)国際公法修士号取得。1998年よりUNHCR勤務。2007年より、ロシア連邦北コーカサス事務所上級保護官。
国連UNHCR協会では、「グルジア・南オセチア紛争」への緊急募金を受け付けています。
郵便局 : 口座番号 00140-6-569575 加入者名 UNHCR協会
※通信欄に「南オセチア紛争」とご明記下さい。
※振込み手数料は「加入者負担」です。用紙が必要な場合はご連絡ください(03-3499-2450)。
銀行 : (1)三菱東京UFJ銀行 青山支店 普通口座 5251034
(2)三井住友銀行 渋谷駅前支店 普通口座 3478195
口座名:((1)・(2)とも) UNHCRキョウカイ
◆ 当緊急支援に必要な資金を上回るご協力をいただいた場合、UNHCRが最優先とする援助活動に充当させていただくことがありますので、何卒ご了承願います。 |
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