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ボスニア・ヘルツェゴビナ/三好正規 緊急報告
UNHCRサラエボ事務所に勤務する三好正規(みよしまさき)アソシエイト・プロテクション・オフィサーが一時帰国した際にお話を聞きました。(2007年12月28日)
旧ユーゴスラビアは一時、世界的に注目が集まりましたが、日本では最近は忘れられているように思います。そのような状況で、「サラエボの花」という映画が関心を集めています。
原題が「グルバヴィッツァ」と言いまして、これはサラエボ市内南部丘陵地帯から盆地にかけた一地区を指します。サッカー日本代表の監督を務めたオシムさんがこの地区の出身です。ついでに私の現在の住まいも偶然グルバヴィッツァにあり、UNHCRサラエボ事務所への通勤は徒歩10分以内という非常に便利な場所に位置します。この地区一帯は内戦時の最前線上にあり、一時セルビア軍に占領され、多くの戦車が並び、市民へのスナイパー攻撃の温床ともなった所です。未だ破壊されたままの家屋があちこちに取り残され、一通り除去はされたと言えど地雷の危険性も完全には払拭できていないと聞きます。映画でもそうですが、グルバヴィッツァの女性たちはとても前向きで家族のためにひたむきに一生懸命頑張っているという印象があり、復興後の希望が感じられます。
ボスニア・ヘルツェゴビナはどのような状況ですか?
旧ユーゴスラビアからの分離・独立を巡って民族対立が激化し、1992年4月に内戦勃発、欧州で第二次大戦後最悪と言われる被害者を出した戦争は1995年12月のデイトン和平合意締結に至るまで続きました。停戦から12年経ちましたが、未だ国はボスニア連邦とセルビア人共和国に二分されたままで、平和が十分に人々の間に定着しているとは言えません。内戦後の銃器の蔓延も手伝い民族間の対立や少数民族への差別が暴力事件に発展することもあります。
民族の構成としては、イスラム教徒のモスレム系が一番多く、次に正教徒のセルビア系、カソリック教徒のクロアチア系が続き、他にもロマ系などの少数民族がいます。国際社会は現在も上級代表事務所(OHR)を通して和平プロセスの監視を続けています。早期の撤退が見込まれていたOHRのプレゼンスは延長に延長を重ね現在に至っており、和平プロセスのもろさを表しています。ボスニアは現在EUへの加盟を目指していますが、政治憲法機関や警察機構の改革が思うように進展していないのが現状です。
そのような状況でUNHCRサラエボ事務所はどのような支援をしているのですか?
主にコソボからの難民を受け入れるセンターが国内に2か所あり、両方合わせ450名程が暮らしています。衣食住にわたる支援をしていますが、生活状況は厳しくボスニア社会への統合も困難です。私自身は2007年3月に赴任して以来、難民認定審査に関する仕事をしています。2004年以降は、ボスニア政府が難民申請の認定を行なっているのですが、審査の内容をUNHCRと共有しますので、この内容をモニターし、難民として認定されるべき人々の権利を保護するため、政府への働きかけをしています。実は2004年以降、わずか6人しか難民認定されていません。特にコソボ難民である少数民族ロマ人は難民と認定されない傾向にあります。庇護希望者に対する支援を行うNGOとの調整も担当しています。
援助現場でのお仕事は大変だと思いますが、現地の生活はいかがですか?
復興が大分進み生活上何かに困るということは特別ありませんが、食習慣は日本とかなり異なります。ボスニアの人々は肉をよく食べるのですが、プロテインを多く含んだ脂っこい肉が出されることが多く、食べ過ぎると体質が一気に変わってしまいそうです。そのため普段はできるだけ自炊をして日本食等健康な食事を心がけています。意外と思われるかもしれませんが、アドリア海で採れる新鮮な魚がサラエボでは手に入り、サケやマグロは刺身にして食べられます。経済の自由化も少しずつ進み、近代的なスーパーには豆腐さえ並んでいるので味噌汁や中華料理を作ったりも出来ます。ちょっとした日本食ブームで、干しシイタケや味噌も手に入りますがとても高価に売られています。農薬を使わない新鮮な野菜や果物も青空市場に豊富に並んでいますよ。私のボスニア人の友人にベジタリアンがいるのですが、肉が大好きなこの国民にあって非常に珍しいので、なぜベジタリアンなのかと聞いたところ、「私たちが肉ばかり食べて攻撃的になっているからこそ内戦も引き起こされたのだ。だから私はこの国の平和のためにベジタリアンを選んだ」と真顔で答えていました。そこにも内戦の傷跡を見たような気がしました。
日本の支援者の皆様にメッセージをお願いします。
ボスニアの人たちの間ではアジアへの関心が一般的に低いのですが、日本は内戦中もその後の復興も常に中立の立場から主要な支援国として支援し続けてくれたということで、好印象をもっているようです。日本の皆様も、この国への関心を引き続き持っていただき、ボスニア社会の民族対立の解消、民主化、平和構築への長い道のりを是非見守っていただければと思います。
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