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アジア地域/アフガニスタン(ふるさとへ帰るアフガン難民)

アフガニスタン概況と難民の帰還

パキスタンから帰還し、5年ぶりに再会を果たす家族アフガニスタンでは1979年にソ連軍の侵攻が始まり、1989年のソ連軍撤退後には内乱状態となりました。その後、タリバン政権の圧政と数年にわたるかんばつも重なり、多くの人々がパキスタンやイランに避難し、難民となりました。もっとも多いときで、600万人以上(一説には800万人近く)のアフガン人が難民となって周辺国に逃れました。

2001年のアメリカにおける同時多発テロを契機に、米・英軍によるアフガニスタンへの攻撃が始まり、2001年にタリバン政権が崩壊しました。その後、治安が回復しつつある地域へのアフガン難民の帰還が始まりました。UNHCRの支援を受けて、2007年7月時点で約400万人のアフガン難民がパキスタンやイランからふるさとへ帰還しました。まだパキスタンに残っているアフガン難民は260万人以上に上り、UNHCRでは引き続き難民の帰還支援や帰還後の生活再建支援を行うための資金を必要としています。

ふるさとへ帰る人々への支援

パキスタンからアフガニスタンへ帰還する人々を乗せたトラックUNHCRはふるさとへ帰るアフガン難民に対して様々な支援を行います。帰還手続きや帰還後に受けられる支援などについての情報提供に始まり、帰還前の健康診断や予防接種、距離に応じた交通費の支給、破壊された住宅や学校の再建など、多種多様の支援を提供してきました。難民たちがふるさとへ帰ることはアフガニスタン復興への長い道のりの第一歩です。

アフガニスタンは、今も地雷という戦争の後遺症に悩まされています。全土にわたって埋められている地雷の数は1000万個と推定されています。長い間アフガニスタンから離れていた難民たちが、地雷の被害に遭わないように、UNHCRは帰還した難民たちに地雷対策講習を実施しています。

今も続く住宅再建支援

住宅再建を行うアフガン帰還民2002年にアフガン難民の本格的な帰還が始まって以来、UNHCRは帰還した人々のふるさとで住宅再建支援を続けています。多くの家屋が破壊されたアフガニスタンでは、ふるさとに戻ってもすぐに住めるような家はなく、親戚や友人の家に身を寄せたり、テントや公共施設で暮らさざるを得ません。2007年までに帰還した約400万人の25%に当たる17万世帯がこの支援を受けました。2007年も、全土で約1万戸の住宅再建を支援しました。住宅再建支援は、地域に根ざした自立プロジェクトです。UNHCRは屋根用の角材・ドア・窓などの資材や道具を提供するとともに、品質基準を満たしているかを監督し、再建作業は帰還民自身の手によって行なわれます。受益者の選定はコミュニティが責任を持ち、女性や高齢者や障害者など困難な立場にある家族を優先しています。一戸の再建には約1400ドル(約14万円)(2008年度計画より)かかります。また、UNHCRはアフガン政府とも協力し、帰還民に土地を割り当てる作業を進めています。

ナビ アフガニスタン住宅再建支援に関する詳細はこちら

アフガニスタンのカブールにある配給センターで地雷対策講習を受ける帰還民北部のマザリシャリフ事務所に2006年7月から福村朋子プロテクション・オフィサー(保護官)が赴任しています。2002〜04年にアフガン西部のヘラートに勤務して以来2回目のアフガニスタン勤務です。「北部は他の地域より治安上の問題が少なく、現場に出て活動できる範囲が広いことは恵まれています。水も学校も診療所もない村にも難民は帰って来ていて、UNHCRは住宅や水等の支援、人権保護活動を行っています。必要最小限のことしかできないのですが、アフガニスタンで働いていると、UNHCRが関わる人道支援を経済開発につなげる上でのギャップが本当に深いものだと実感します」と福村プロテクション・オフィサーは語ります。

2007年8月に追加資金を求める緊急アピール

ふるさとの村で住宅建築を行う帰還民と、お手伝いをする子どもUNHCRは2007年、30万人以上のアフガン難民のふるさと帰還支援を行いましたが、その数は当初の予測を大幅に上回りました。資金が底をつくという事態に直面し、8月に1千万ドルの追加資金協力を求める緊急アピールを出しました。2007年中に合計40万人のアフガン難民のふるさとへの帰還と再定住を支援するためです。

自主帰還は主にパキスタンからで、8月までにふるさとに帰還したアフガン難民は、30万6000人を超えています。しかしその一方で、UNHCRの支援を受けてイランから帰還したアフガン難民は約4200人にとどまっています。


パキスタンからの帰還民急増

帰還民に建築資材が支給され、指導を受けながら、自分自身で家を建築する帰還民の数が当初の予測を上回った主な理由として、2007年はじめにパキスタンからの帰還民が急増したことが挙げられます。2006年10月から2007年2月にかけて、パキスタン当局とUNHCRは、人口調査に基づき、アフガン難民の登録を実施しました。それにより、216万人の難民がパキスタン政府に難民登録され、登録証を受け取りました。UNHCRは、難民登録をしていないアフガン人に、ふるさとへの帰還を勧めています。難民登録カードを持つ人々だけが、2009年末までパキスタンに留まることができるのです。

難民受け入れ国における状況と、その政府の政策は、難民の帰還状況に強く影響します。UNHCRは受け入れ国とアフガニスタン両国において、帰還が自主的かつ段階的に行われているか、またUNHCRと関係国政府との間で結んでいる自主帰還の法的枠組みを盛り込んだ三者合意の原則が守られているかについて、モニタリングを続けています。


自主的な帰還を促すために

日干し煉瓦を作る帰還民難民たちが自主的に帰還するためには、彼らが情報を得た上で、意思決定をすることが大切です。そのため、UNHCRはさまざまな方法によって、難民たちに、ふるさとであるアフガニスタンの情報を提供しています。

そのひとつに、その時話題となっていることを報道するラジオ番組があります。BBCが制作し、ダーリ語、パシュトゥー語によって、アフガニスタン、パキスタン、イランで放送されています。UNHCRはまた、医療や教育から、住宅支援の方法や職業訓練まで、難民からの「よくある質問」をまとめた一連の小冊子を配布しています。

UNHCRはさらに、難民にもっと的を絞った情報を提供し、彼らがふるさとの地方当局と直接交流することができる「行って見てみよう」、「来て話そう」といった訪問活動を支援しています。「行って見てみよう」では、難民の代表がアフガニスタンのコミュニティーを訪ね、「来て話そう」では地元コミュニティーの代表が避難しているアフガン人に会うために外国に出かけるのです。


ふるさと再建までの流れ

パキスタンで生まれ育った子どもたちには、初めて見るふるさとかもしれないUNHCRは自主的帰還事業の中でふるさとに帰還したすべての帰還民に現金を支給しています。ふるさとのまでの道のりで必要なものや、ふるさとにたどり着いた後に、必要なものを、すべて手に入れるには十分な額ではないかもしれませんが、この補助金は、多くの難民にとって自由に使うことができる最小限の収入や貯蓄を補完するものです。

パキスタンやイランの難民に交通費として与えられる補助金は、アフガニスタンのふるさとまでの距離に応じて一人あたり10ドルから23ドルです。遠くの国から帰還し、UNHCRの支援に依存している人たちには、現金とともにアフガニスタンの首都であるカブールまでの航空券が与えられます。

交通費とともに、すべての難民は再定住するための資金として一人当たり83ドルが支給されます。この支援によって、さしせまって必要なものや、目的地のふるさとについた後すぐに必要なものなどを買うことができます。

UNHCRの支援を得てアフガニスタンに戻りたいアフガン難民は、避難国でUNHCRに申請し、帰還の登録をし、自主帰還用紙に書き込みます。自主帰還用紙は、パキスタン、イラン、その他の受け入れ国にある自主帰還難民センターで入手することができます。

アフガニスタンに着くと、ふるさとまでの交通費と再定住のための資金を受け取るため、難民はエンキャッシュメントセンター(Encashment Center)に行きます。そこでは、地雷回避訓練から、子供のためのポリオやはしかの予防接種、基本的な医療支援、法律上の支援、一夜を過ごすための仮住居の提供など、様々なサービスを受けることができます。

アフガニスタンには全部で6つのエンキャッシュメントセンターがあります。すべてのセンターはUNHCRがアフガニスタン難民帰還省と協力して運営しています。

UNHCRが提供した交通費と再定住のための補助金は、アフガン経済に注ぎ込まれた総額という点から考えると、その額はかなりものになります。アフガン難民の5年間の自主帰還で、UNHCRは間接的に$80,000,000をアフガニスタン経済に投入したことになるのです。


子どもたちに勉強の機会を

カブールの小学校で熱心に勉強する子どもたちUNHCRは、住宅再建以外にも、帰還民がふるさとで再定住できるように各種の支援を行っています。たとえば、モハメッド・サリークさんはソ連軍の侵攻後、隣国イランで難民として暮らしていました。昨年サリークさん一家は4人娘と2人息子とともに、UNHCRの支援を受けて19年振りにヒンデゥークシュ山脈近くのふるさとに帰りました。

帰還して間もなく、サリークさんの家の玄関にはたくさんの小さな靴が並ぶようになりました。「私は教育を受ける機会がありました。だからこそ、子どもたちにも勉強して欲しいのです」と話すサディクさんですが、この地域の学校は数キロメートル離れている上に、男子しか入学できません。

サリークさんは思い切って、難民生活をしている間に教育を受けた18歳の長女パルウィーンさんを先生として、自宅で6〜18歳の女子に勉強を教え始めたのです。女子教育に否定的な地域の慣習を考慮して、最初は「コーランの勉強会」と称して始めた教室は、今では100人以上の男女の子どもたちが通うようになり、16歳の次女ナスリーンさんとサリークさん自身も勉強を教えています。

しかし、この私利私欲のない無料教室が、サリークさん一家に大きな財政的負担を強いているのは事実です。「学校は人道的意味でも非常に重要です。子どもたちのこの熱心さを見たら、今さらやめられないですよ」と話すサリークさんに、UNHCRは数百冊のノートや鉛筆を提供し、石鹸などの日用品も支給しました。教室が終わって子どもたちが靴を履いて走って帰る姿をいつも見届けるパルウィーンさんは、ふるさとに帰り、ふるさとの人々のお役に立てて本当に良かったと、いつも満足げに微笑みます。

日本UNHCR協会では、2002年以降アフガニスタンへ帰還した難民の住宅再建支援を呼びかけ、2007年6月時点で8500万円のご寄附が集まりました。皆様からのご協力で、多くのアフガン難民がふるさとへ帰還し、生活を再建することができましたことを、心から御礼申し上げます。引き続き、アフガン帰還民への温かいご支援をお願いいたします。


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<アフガニスタン(ふるさとへ帰るアフガン難民) 最新ニュース>


2008年

2月21日 インドで子どもたちにヒンディー語を教えるアフガン難民(駐日事務所ニュース)

2月21日 UNHCR、20万人のアフガン難民に越冬用支援物資を支給(駐日事務所ニュース)


2007年

12月26日 アフガニスタンのクチ族帰還民、伝統的な土地の回復を求める(駐日事務所ニュース)

12月25日 インド在留のアフガン難民−帰化への動き(UNHCRアフガニスタン事務所ニュース・翻訳)

12月19日 アフガン少数民族、インドに故郷を求める(駐日事務所ニュース)

11月2日 2007年、35万人がアフガニスタンへ帰還(UNHCR本部ニュース・翻訳)

10月 アフガニスタン―復興への更なる道のり(UNHCR本部ニュース・翻訳)

9月3日 アフガニスタン帰還民の課題に関する報告書(UNHCR本部ニュース・翻訳)

8月30日 家と土地を求めて(UNHCRアフガニスタン事務所ニュース・翻訳)

8月26日 ふるさとでの住まいの再建、レンガと誇りと共に(UNHCRアフガニスタン事務所ニュース・翻訳)

7月9日 魚の養殖によるアフガン帰還民支援(UNHCR本部ニュース・翻訳)

7月3日 パキスタンの大洪水によりアフガン難民キャンプも被災(UNHCR本部ニュース・翻訳)

2月16日 難民救済に力を注ぐ「君のためなら千回でも」の著者カーレド・ホッセイニのインタビュー(UNHCR本部ニュース・翻訳)


2005年

12月16日 ことし最後のアフガニスタンへの帰還(駐日事務所ニュース)

12月15日 ふるさとへもって帰るもの・・・

11月24日 アフガンへの難民帰還、新しい段階へ(駐日事務所ニュース)

8月12日 アフガン帰還民 橋の下へ水を流すため(駐日事務所ニュース)

7月22日 パキスタンからアフガン難民の帰還250万人を突破(駐日事務所ニュース)



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