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コロンビアの紛争地域で登録作業
UNHCRが支援する登録キャンペーンによって、75歳のデルサベ・スソ・サンチェス(Delsabé Suso Sanchez)さんは、生まれて初めて身分証明書を手にしました。
それまでは出生証明書もなかったため、法的に存在すらしていなかったことになります。サンチェスさんはCanyon de Las Hermosas という、コロンビアの山間地方に生まれましたが、この地域は開発が遅れており、何十年もゲリラ活動が続いています。そのため、州の行政機関はこの地に立ち入ることができず、基本的な権利の保障やサービスの提供をできずにいました。
そうした中、1ヶ月間にわたり行われる登録キャンペーンのスタート地点として、2009年5月初旬、コロンビア登録事務所の登録チームがUNHCRに伴われ、Canyon de Las Hermosasにはじめて足を踏み入れました。
「我々がここで国際的な中立をアピールすることで、公的機関は最も紛争の激しい地域に住む人も含め、全ての国民に手を差し伸べることができるようになるのです。」(ジーン・ノエル・ウェッターワルド(Jean-Noel Wetterwald)UNHCRコロンビア事務所代表)
UNHCRは2004年に州登録事務所の弱者対策チーム(Unit for Attention to Vulnerable Populations)との協力体制を確立しましたが、それ以来、70万人以上もの国民に身分証明書が発行されました。7つある登録チームは、最も困難で孤立した地域に拠点を置き、国内避難民及び避難民となる恐れの高い人々、また先住民のコミュニティーなど、最も被害を受けやすい人を対象に登録作業を進めています。
登録7チームはそれぞれ、コンピューター、指紋登録機器、カメラ、及び、ボゴタにある全国規模のデータベースと各チームとをつなぐ衛星アンテナを装備しています。コロンビアの憲法では全国民に法的な身分証明の権利を謳っており、このプロジェクトはその権利を保障するための大きな柱の一つとなります。国民にとって、身分証明の有無は法的権利と基本的な行政サービスへのアクセスの保障はもとより、紛争地域においては生死を分けるかもしれない書類でもあるのです。
登録チームが登録デスクを設置したLa Virginiaの小さな教会で身分証明書の発行を待つ男性は、「身分証明書がなければ、みんなに疑いの目で見られるんだよ」と話しました。この男性はこの日の登録のために、日の出と共に自分の農場を出発し、5人の子供と奥さん、年老いた父親を連れ、7時間も歩いてこの教会にやってきました。家族にはだれも出生証明書を持つものがいません。男性は特に14歳、12歳、10歳の3人の息子たちを無事登録することができ、ホッとした表情をみせました。
男性はこう続けました。「証明書がなければ、法的には存在しないんだ。息子たちが連れ去られても、存在していたことすら証明できないんだよ」。この地域の家族が現在、非常に恐れているのが強制徴兵です。多くの家族が子どもを連れ去られるリスクを回避するため、他の大勢と同じように土地を離れて国内避難民になる道を選びます。その場合、証明書があればある程度の保護が得られることもあるのです。
登録キャンペーンの成功は地域コミュニティーの協力にかかっている部分が非常に大きいと言えます。登録作業は早くはありませんし困難も伴います。例えば出生証明書を発行するには、証人としてすでに身分証明書を保有する人が2名求められると法では定められています。こんなに簡単な規定でも、そもそも身分証明書を保有する人口が少ないコミュニティーでは大変なことなのです。
「我々の活動目的は、特に被害者となりやすい人々に対し、法的に許される範囲内でなるべく柔軟な対応をしながら迅速に身分証明を発行することです。今日、ここで登録できなければ、この先いつ登録する機会があるかわからないのですから」と州登録事務所職員はこう述べます。
午前中いっぱい待っていた75歳のサンチェスさんが出生証明書を持って教会から出てきました。彼女にとって、人生初の身分証明書です。それにもうひとつ、素晴らしいニュースがありました。彼女には脅迫を受けて18年前にCanyonを去った2人の息子がいますが、連絡が途絶えていたためほぼあきらめていたのですが、登録チームの記録で、2人の生存が確認されたのです。
原文 : Mobile registration unit brings documents to Colombia’s conflict zones
ソース : UNHCR News Stories
日付 : 2009年5月28日
日本語訳: 谷藤千寿(国連UNHCR協会ボランティア)
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