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ケニア(ソマリア難民)/山崎玲子 現地報告

ソマリア難民キャンプの状況を、国連UNHCR協会スタッフ山崎玲子が2007年4月9日~11日に視察してきました。以下は山崎の報告です。

内戦激化で難民が急増

ダダーブの街から難民キャンプまでの移動途中、洪水に足をとられるUNHCR車両2006年後半からソマリアの内戦は激化し、隣国のケニアに逃れてくる人の数が日に日に増えていきました。ピーク時には、1日に1000人もの人々がケニアとの国境に殺到し、UNHCRは新たに流入してきた難民のために、国境から難民キャンプまでの輸送トラックや、テント、医療、食糧、水の確保に職員一同奔走しました。キャンプはこの半年で新たに3万4000人のソマリア難民を受入れることになりました。危険を逃れてきた人々の命を守ることが最優先ですが、すでに13万人が暮らしており、難民キャンプの許容量を大きく上回っているため、今後の援助活動にはこれまで以上の資金が必要です。また、ソマリア国内では、40万人以上が国内避難民となっています(その後、さらに治安が悪化したために、2007年8月現在で国内避難民の数は50万人以上に上っています)。

大洪水で6000世帯の住居が壊滅

木の枝で骨組みを作ったソマリア式の住居近年干ばつに悩まされていたダダーブを、昨年11月には大洪水が襲いました。ダダーブの町から難民キャンプまでの約18kmの道は、1ヶ月もの間使用できない状況に陥り、この間の援助物資は急遽空輸で行われました。6000世帯の家や診療所、学校などが大洪水に流され、私が訪問していたときには、これらの被災者のための新しい難民キャンプを建設しているところでした。新しい難民キャンプは高地に作られ、毎年襲われる洪水の被害を最小限に留めるよう配慮されています。新たな住居や学校、診療所などを設置するために、炎天下、難民の人々も力をあわせて土木工事に汗を流していました。祖国を追われた難民が、今度は自然災害により難民キャンプの住居までも流され、さらなる避難を強いられている今の状況に胸の塞がる思いがしました。急遽増員されたUNHCR職員は、今もテントに住んで対応に追われています。

拡張される難民キャンプと悪化する環境問題

月1回の焚き木の支給風景ダダーブの難民キャンプで、今最も深刻な問題となっているのは、環境問題です。電気もガスも通っていない難民キャンプでは、調理の煮炊きに焚き木を使用しています。従来は、難民自らがキャンプの周辺から焚き木を採ってきていましたが、約17万人の難民が日々使う焚き木の量は、年々深刻な環境問題に発展してきました。また一方で、何時間もかけて焚き木を集めに出かけていると、女性や子どもはレイプの被害に遭うことが多いという問題もありました。そこで、1998年より、UNHCRでは、ケニアの地元民間業者から焚き木を購入し、難民キャンプで配給する方法に切り替えました。これにより、環境破壊を多少なりとも食い止めることができるようになり、また、レイプの被害件数は大幅に減少しました。

ソーラークッカーしかし、たいへん厳しい財政状況の中、配給できる量は必要量の30%にしかすぎません。太陽光で調理するソーラークッカーも導入されていますが、とても不足分をまかなえる数量ではありません。あと何年難民キャンプでの避難生活は続くのでしょうか。今後は代替燃料を検討していかなければなりません。

ナビ UNHCRの援助活動「環境」コーナー

難民の将来は…

ソマリアの周辺国は、ソマリアの内戦が終結するよう努力を続けていますが、解決の目処はいっこうに立っていません。移動の自由もない、就労の機会もない、教育の機会もごくごく限られている…難民となった人々は、そのような厳しい状況を何年も生き抜いています。UNHCRは、初等教育(8年間)をすべての子どもに提供するようにしていますが、中等教育(4年間)を受けられるのは、ごくわずかです。なぜなら、難民キャンプはすでにパンク状態で、教育を充実させられるほどの財政的な余裕はまったくないからです。学校の壁には配給される食物油のブリキ缶が使用されており、暑い日には熱がこもって大変だと嘆いていました。

「もっと勉強を続けたい」UNHCRの現地職員は、「もっと教室を増設し、教員を養成することができれば、過酷な避難生活の中でも、多くの子どもたちに生きる希望を与えることができます」と訴えていました。中等教育では、すべての教科の授業が英語で行われていました。彼らがこの先、国に帰ることができるようになったとき、また、どこか別の受入国で定住することになったとき、間違いなく大きな助けになるだろうと思いました。「もっと勉強を続けたい」という言葉に、なんとか応えられればと思います。子どもたちへの最大の贈り物は教育なのだとあらためて強く実感しました。

ナビ UNHCRの援助活動「教育」コーナー
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