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HOME > UNHCRの援助活動 > 帯刀豊 インタビュー

スーダン・ダルフール地方およびチャド共和国/
帯刀豊 インタビュー

人道危機が続くスーダン・ダルフール地方のザレンジ事務所に2006年12月から勤務している帯刀豊(たてわきゆたか)保護官に、2007年8月8日、東京の国連UNHCR協会事務所でお話を聞きました。

ダルフールの治安はいかがですか?

UNHCRスーダン・ザレンジ事務所保護官 帯刀豊 複合的な要因から治安が悪くなっています。スーダンのアラブ系民兵ジャンジャウィードの存在に加えて、スーダン政府の支援を受けていると言われるチャドの反政府グループがスーダン側に逃げて来て、カージャック(車への襲撃)などを起こしています。

職員の生活状況は?

宿舎はコンクリート造りになりました。水は定期的にトラックで輸送されてきます。お湯は出ません。発電機は24時間体制ではないので毎日停電しますが、冷房設備はあります。スーダン政府が夜9時から朝7時までの外出制限時間を設けていますので、難民キャンプに滞在できるのは夕方5時までです。

難民キャンプは?

職員宿舎から車で10分程のところにキャンプが4つあり、約10万人が暮らしています。WFP、UNICEF、CARE、DRC(Danish Refugee Council)、IRC(International Rescue Committee)なども活動し、キャンプ運営の全体的な調整は、OCHAが担当しています。

UNHCRの役割は?

国境沿いに住む人々は様々な嫌がらせを受けているので、国境から離れた避難民キャンプに移送しています。UNHCRエル・ジェネイナ事務所を拠点として、4つのサブ・オフィスのひとつが、自分が勤務するザレンジ事務所です。「protection by presence」と言いますか、国連機関のUNHCRが存在するだけで襲撃や虐待などがある程度抑止されることが期待できると思います。それと「Advocacy」つまり、援助を必要としている人々の中で最も弱い立場にある人たちを保護し、その代弁者としての役割を果たしています。食糧以外の援助物資を調達し、必要とする人々に配布することも重要です。

ザレンジの特色は?

国境から離れていて、スーダン政府の軍事基地が近いために比較的安全が保たれています。その一方、反政府グループであるDPAのリーダーがザレンジ出身者であることから、住民の9割は反政府グループを支持しています。避難民キャンプの住民は、キャンプの中に政府関係者を入れたがらないので、自分も政府側の人と一緒に居るところを見られたら危険なのです。つまり、キャンプ内の治安について面倒を見てくれる人がいない状況です。UNHCRに訴えてこられても、対応する権限はありません。国連軍が来てくれることを期待するしかないのですが、最近、AU(アフリカ連合)と国連によるPKO(平和維持活動)部隊の派遣が決定したようです。しかし、うまく機能するかどうか不透明な部分が多いのではないでしょうか。

キャンプでの教育は?

小学校が運営されています。IRCというNGOが担当しています。中・高等教育を受けたい場合には、キャンプ外の町にある学校に通っているようです。ユニセフが部分的に援助しています。

ザレンジ事務所のスタッフ構成は?

国際スタッフ4名。所長、Administration Officer、Protection Officer、Community Services Officerです。もうすぐField Officer(UNV)が加わります。ローカルスタッフは英語とアラビア語が必要ですが、スーダン南部出身者でも英語ができる人は少ないです。女性のローカルスタッフがいないと、女性の援助対象者とのコミュニケーションがとれないという問題があります。

なぜダルフール赴任を希望したのですか?

ニューデリーでの援助対象者は都会で暮らす難民だったので、難民キャンプの状況や民族紛争の実態を、実際に見たいと思ったからです。

現在の問題は?

援助団体間の相互の調整が不十分なことです。例えば、避難民の登録作業が一元化されていないので、別の組織が担当する援助物資よって、配給がまちまちとなる場合があります。そういう狭間に落ちている人が増えていて、全体の10〜15%ぐらいと見積もっています。UNHCRが「最後の砦」(Last Resort)となって、困窮している人々に食糧以外の物資(丈夫なビニールシート、蚊帳、防虫スプレー等)を配るなどして援助しています。

最後の質問ですが、日本に戻ってどう感じますか?

UNHCRの場合は赴任地の危険度によって、定期的に休暇をとる制度があります。ダルフールの場合は、ストレス対策や健康管理のために、6週間に1回、1週間〜2週間の休みをとり、スーダンから出ないといけないという決まりになっています。アフリカのスーダンといえば日本から遠いと思われるかもしれませんが、ハルツームからドバイ経由で関西空港まで、たった1日で移動できます。ちなみにドバイまではほんの3〜4時間です。最近はドバイでも観光産業にも力を入れていて、買い物袋をもった日本人観光客も多く見受けられるようになりました。そういう意味で、日本人にとっても必ずしも遠くない同じ地球上で、こんなに違う現実があるということに戸惑いを感じています。
休暇中も、今こうしてお話している間も、人道危機が続いていると思うと、どうしても気になってしまいます。特に私の事務所は非常に限られた人員でやっているので、自分がいないとできないことがありますから。日本に戻ったときより、ダルフールに戻ったときの方が気持ちが落ち着くかもしれません。
日本の皆様も、どこか遠い国の出来事ではなく、1日で移動できる場所で続く人道危機について、まずは関心をもっていただければと思います。

経歴 : 東京都出身。1992年一橋大学法学部卒業。社会人生活を経てからイギリスに留学し、難民法と国際犯罪法で修士号を取得。2003年から2006年10月まで、JPOとしてインド・ニューデリー事務所勤務を経て現職。

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