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スーダン・ダルフール地方およびチャド共和国/ 石谷敬太 インタビュー
長引く人道危機のなか、治安の悪化が深刻化するチャドで援助活動を続ける、石谷敬太アソシエート・コミュニティーサービス・オフィサーにお話を聞きました。(2010年5月)
現在の仕事
私の勤務しているチャド南部のゴレは、電気も舗装道路もない小さな村です。2007年よりこの事務所で、中央アフリカ共和国から逃れた難民約7万人の保護・支援活動を行なっています。
チャドでは新たな難民が発生する緊急事態や、ある程度状況が落ち着いた難民の現地社会への定住化、また自主帰還や第三国定住に至るまで、様々な仕事に携わる機会があります。
新たに流入してくる難民の受け入れ、登録。キャンプへやってくる途中に親と離れ離れになってしまった子どもや孤児の保護、レイプやジェンダーなどの暴力の未然防止、お年寄りや障害を持つ方への訪問や、彼らの地位向上を目指す啓蒙活動を主に担っています。また、小学校の就学率向上プログラム、技術訓練プログラム、若者たちとのスポーツといった参加型ニーズ調査やコミュニティの組織化や、パートナーNGOとの調整も重要な活動です。
援助現場での毎日
9人のスタッフと、宿舎で共同生活をしています。毎日朝から数キロ離れたキャンプへ行き、NGOスタッフや難民の人々と一緒に、炎天下のフィールドを歩き回りながら仕事をします。難民と実際に接する時間は、何よりも大切にしています。自力で病院に行けないほど弱った老人、家庭内暴力、豪雨による家の崩壊、学校でおきる部族間の喧嘩。毎日様々なことが起ります。身体的な疲労、理想と実際にできることのギャップなど、ストレスを感じることもありますが、フィールドに出て、難民と直接顔を合わせ、直接声を聞くことが、何にも代えがたい、やり甲斐となっています。特に子どもたちや青年が、私のことを「ケイタ」と親しみをこめて呼び、頼りにしてくれているのがわかるので、それに応えようというエネルギーとなっています。
治安状況
治安は常に変化しています。以前は、隣国に比べれば比較的安定していると言われていたチャドですが、2007年には職員の一人が犠牲となりました。2008年には、政府軍と反政府勢力による衝突が激化し、市街戦へと広がりました。偶然首都のジャメナに出張していた私は、ホテルに緊急避難しましたが、目の前で銃撃戦が始まり部屋に被弾し壁に大きな穴が空くほどでした。
未確認の武装集団による強盗も横行しており、めまぐるしく変わる情勢を前に、援助に携わるスタッフにとって、セキュリティーは重要な課題となっています。治安の悪化により、武装した警備や防弾チョッキの用意がなければ移動できない地域も拡大し、日常の活動を難しくしており、もどかしく感じています。
UNHCRのスタッフとして
治安の悪い地域で仕事をしていると、様々な状況を乗りこえながら、スタッフの絆を深めることができます。また、緊急事態やセキュリティーの問題、キャンプ・マネージメントなど、普段あまり身近に感じることがなかった現実に接することができます。住み慣れた社会からは遠く離れた場所ですが、逆にありのままの世界にむき出しの自分で挑みながら、今生きていることを実感しています。
力強く生きている難民の人々や、正義感が強く勇気のある同僚からの刺激を糧に、厳しい状況下でも、周りから信頼を得られる人道支援のプロとして、世界中で苦しむ人々を少しでも効果的に支援することができるよう、今後も邁進していきたいと思います。
経歴 : 慶應義塾大学総合政策学部卒業後、英国サセックス大学にて開発学修士号取得。エルサルバドルにおけるJICA青年海外協力隊に参加後、2007年よりUNHCRチャド事務所でアソシエート・コミュニティーサービス・オフィサーとして勤務。
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